介護事業者にとって、優秀な人材の確保と離職の防止は通年の課題ですよね。
高齢化で介護を必要とする人口は増え続けているのに、介護業界の人手不足はなかなか解消しません。
そこで今回は介護事業者様向けに、介護事業所で活用できる助成金や補助金(以下助成金で統一)をご紹介します。
実は、介護施設で使える助成金は少なくありません。賢く活用して職場環境を改善し、人手不足の解消を目指しましょう。
高齢化で介護を必要とする人口は増え続けているのに、介護業界の人手不足はなかなか解消しません。
そこで今回は介護事業者様向けに、介護事業所で活用できる助成金や補助金(以下助成金で統一)をご紹介します。
実は、介護施設で使える助成金は少なくありません。賢く活用して職場環境を改善し、人手不足の解消を目指しましょう。
– 目次 –
create【2024年】介護施設で使える助成金まとめ
介護事業者や介護施設が使える助成金とは、一定の条件を満たせば国や自治体から支給を受けられる給付金です。
給付の形はさまざまですが、原則として返済の必要はありません。
ここではおもに、人材の確保と離職対策に使える助成金をまとめました。
人材確保に活用できる助成金 | |
---|---|
介護・福祉人材確保支援事業費補助金 | 介護・福祉分野の人材確保を目的とした事業に活用できる |
キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 有期雇用の従業員を正規雇用とした場合に助成金を受け取れる |
離職を防ぐために活用できる助成金 | |
ICT導入支援事業補助金 | 介護現場でICTを活用した業務効率化・環境改善をはかる時に活用できる |
両立支援等助成金 | 従業員の出産・育児や介護と仕事との両立をしやすくするために活用できる |
これらの助成金を使えば、職員のモチベーションアップにつながる就労環境の整備が可能です。
それぞれ、次項で詳しく解説していきましょう。
create人材確保に活用できる助成金
ここでは、介護・福祉分野の人材を確保し、定着させるために活用できる助成金をご紹介します。
① 介護・福祉人材確保支援事業費補助金
国が補助し、各都道府県の自治体が主体となって実施している補助金です。東京都の場合は、東京都福祉人材センターが委託を受けて補助金を実施しています。
<補助金の概要>
・各都道府県の自治体が窓口となって実施している
・介護・福祉分野の人材確保を目的としている
・実施事業の詳細は都道府県のウェブサイトにて公表
<東京都の例>
「初任者研修等資格取得支援事業」介護職員初任者研修及び生活援助従事者研修の無料開催
「介護職員就業促進事業」介護施設等で働きながら雇用確保と介護職員初任者研修資格を取得支援(訪問介護系サービス以外)
「訪問介護採用応援事業」訪問介護事業所で新たに雇用し働きながら雇用確保と資格を取得支援
「かいごチャレンジ職場体験事業」介護施設や事業所での職場体験と、その後の人材定着に向けた相談等を支援
かいごチャレンジ職場体験事業は、介護業界で働いたことのない幅広い年代の方々に職場体験を通じて介護の仕事の魅力を体感してもらうことを目的とした事業です。
事業者としては、人材の発掘につながったり、採用後のミスマッチを防ぐことができるため、長く働いてもらえる人材の確保を目指せます。
② キャリアアップ助成金(正社員化コース)
パート社員や派遣社員、契約社員など、有期契約として雇用している従業員を無期雇用・正規雇用したときに以下の金額が助成 されます。管轄は各都道府県の労働局かハローワークです。
(中小企業の場合)
・有期雇用 → 正規雇用:1人当たり 80万円(40万円×2期)
・有期雇用 → 無期雇用:1人当たり 40万円(40万円×2期)
※正規雇用が継続されていた場合、2期目の申請が出来るようになり()内の金額が助成される
・有期雇用 → 正規雇用:1人当たり 80万円(40万円×2期)
・有期雇用 → 無期雇用:1人当たり 40万円(40万円×2期)
※正規雇用が継続されていた場合、2期目の申請が出来るようになり()内の金額が助成される
このほか、母子家庭や父子家庭の親を無期雇用・正規雇用した際には助成額が加算されるなど、複数の加算要件があります。
詳しくは厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「キャリアアップ助成金~令和6年4月1日」
create離職対策に活用できる助成金
せっかく雇用した従業員が離職してしまわないよう、職場への定着を目指すために使える助成金をまとめました。
① ICT導入支援事業 補助金
介護現場にICT機器を導入することで業務効率や職場環境を改善し、職員の負担軽減をはかるときに対象となる補助金です。ICTとは情報通信技術を指す言葉で、要はインターネットで使えるシステムやスマートフォン・タブレット端末などのデジタル機器をうまく活用することを言います。
国のICT導入支援事業の実施要綱に基づき、各都道府県が実施しています。
東京都の場合は、東京都福祉財団が東京都から委託を受けて業務の一部を実施しています。
<補助金の概要>
・各都道府県の自治体が窓口となって実施している
・介護業務の効率改善による職員の負担軽減を目的としている
・実施事業の詳細は都道府県のウェブサイトにて公表
<東京都の例>
・「デジタル機器導入促進支援事業」として実施
■ 対象となる経費
・介護業務支援システム:ソフトウェア・クラウドサービス、タブレット端末やスマートフォンなどのハードウェア、Wi-Fiルーターなどのネットワーク機器など
・補助上限額:最大260万円
・コンサルティング等:導入する機器等の検討や導入範囲の決定、その効果的な活用等に関するコンサルティングなどにかかる経費
・補助上限額:最大75万円
※令和6年度(2024年度)の補助金概要出典:公益財団法人東京都福祉保健財団 「令和6年度 デジタル機器導入促進支援事業」
実施する自治体によって補助金額や補助金の申請期間が異なります。令和6年度(2024年)の申請受付がいつから始まるのかは、各自治体が管轄している補助金窓口へ確認するようにしましょう。
② 両立支援等助成金
介護施設や事業所で働く従業員の出産・育児や介護と仕事との両立をしやすくするための助成金です。管轄は各都道府県労働局です。ここでは、通常の育児休業給付金とは別で支給される助成金について紹介します。
<出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)>
男性従業員が育児休業を取りやすい職場環境や業務体制を整備した上で、 子どもの出生後8週間以内に、連続5日以上の育児休業を取得した男性従業員がいる場合(第1種)と、男性の育児休業取得率が上昇した場合(第2種)に、事業者に以下の金額が助成される。
(第1種)
・1人目の育休取得:20万円
∟2人目・3人目:10万円
(第2種)
・第1種の受給した事業主に於いて
∟1事業年度以内に30ポイント以上上昇:60万円
∟2事業年度以内に30ポイント以上上昇等:40万円
∟3事業年度に30ポイント以上上昇等:20万円
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.3~
男性従業員が育児休業を取りやすい職場環境や業務体制を整備した上で、 子どもの出生後8週間以内に、連続5日以上の育児休業を取得した男性従業員がいる場合(第1種)と、男性の育児休業取得率が上昇した場合(第2種)に、事業者に以下の金額が助成される。
(第1種)
・1人目の育休取得:20万円
∟2人目・3人目:10万円
(第2種)
・第1種の受給した事業主に於いて
∟1事業年度以内に30ポイント以上上昇:60万円
∟2事業年度以内に30ポイント以上上昇等:40万円
∟3事業年度に30ポイント以上上昇等:20万円
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.3~
<介護離職防止支援コース>
従業員が円滑に介護休業を取得できるよう、環境整備などの取り組みを行った事業者に以下の金額が助成される
※生産性要件を満たした場合は()内の金額が支給される
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「介護離職防止支援コース」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.32~
従業員が円滑に介護休業を取得できるよう、環境整備などの取り組みを行った事業者に以下の金額が助成される
休業取得時 | :30万円(15万円) |
職場復帰時 | :30万円(20万円/5万円) |
介護両立支援制度 | :30万円(15万円) |
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「介護離職防止支援コース」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.32~
<育児休業等支援コース>
「育休復帰支援プラン」を策定の上、育児休業の円滑な取得・復帰の取り組みを行った事業者に以下の金額が助成される
・育休取得時:30万円
・職場復帰時:30万円
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「育児休業等支援コース」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.73~
「育休復帰支援プラン」を策定の上、育児休業の円滑な取得・復帰の取り組みを行った事業者に以下の金額が助成される
・育休取得時:30万円
・職場復帰時:30万円
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「育児休業等支援コース」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.73~
<育休中等業務代替支援コース>
育児休業を取得する従業員の業務を、代わって業務内容を遂行する従業員への手当てや、新しく雇用を行った事業者に以下の金額が助成される
・手当支給等(育児休業):育児休業取得者の業務を代替する周囲の従業員に対して手当支給を行った場合:10万円/月を上限
∟業務体制整備:5万円+業務代替手当:業務代替者に支給した手当総額の3/4
・手当支給(短時間勤務):短時間勤務者の業務を代替する周囲の従業員に対して手当支給を行った場合:3万円/月を上限
∟業務体制整備:2万円+業務代替手当:業務代替者に支給した手当総額の3/4
・新規雇用(育児休業) :育児休業取得者の業務を代替するパート・正社員などの従業員を新たに雇用し、確保した場合:「育児休業期間中に業務代替した期間」に応じて以下の額を支給
∟7日以上14日未満:9万円
∟14日以上1ヶ月未満:13.5万円
∟1ヶ月以上3ヶ月未満:27万円
∟3ヶ月以上6ヶ月未満:45万円
∟6ヶ月以上:67.5万円
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「育休中等業務代替支援コース」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.90~
育児休業を取得する従業員の業務を、代わって業務内容を遂行する従業員への手当てや、新しく雇用を行った事業者に以下の金額が助成される
・手当支給等(育児休業):育児休業取得者の業務を代替する周囲の従業員に対して手当支給を行った場合:10万円/月を上限
∟業務体制整備:5万円+業務代替手当:業務代替者に支給した手当総額の3/4
・手当支給(短時間勤務):短時間勤務者の業務を代替する周囲の従業員に対して手当支給を行った場合:3万円/月を上限
∟業務体制整備:2万円+業務代替手当:業務代替者に支給した手当総額の3/4
・新規雇用(育児休業) :育児休業取得者の業務を代替するパート・正社員などの従業員を新たに雇用し、確保した場合:「育児休業期間中に業務代替した期間」に応じて以下の額を支給
∟7日以上14日未満:9万円
∟14日以上1ヶ月未満:13.5万円
∟1ヶ月以上3ヶ月未満:27万円
∟3ヶ月以上6ヶ月未満:45万円
∟6ヶ月以上:67.5万円
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「育休中等業務代替支援コース」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.90~
<柔軟な働き方選択制度等支援コース>
育児を行う従業員が、フレックスタイムや時差出勤、テレワークなどの制度を利用して、柔軟に働ける取り組みを行った事業者に以下の金額が助成される
・制度を2つ導入し、1つ利用した場合:20万円
・制度を3つ以上導入し、1つ以上利用した場合:25万円
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「柔軟な働き方選択制度等支援コース」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.142~
育児を行う従業員が、フレックスタイムや時差出勤、テレワークなどの制度を利用して、柔軟に働ける取り組みを行った事業者に以下の金額が助成される
・制度を2つ導入し、1つ利用した場合:20万円
・制度を3つ以上導入し、1つ以上利用した場合:25万円
※支給対象となるのは中小企業のみ
詳細は以下の厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
「柔軟な働き方選択制度等支援コース」
両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)(パンフレット)P.142~
このほか、不妊治療と仕事を両立させるための環境整備や、制度を利用する従業員への助成などがあります。
人口減少が進み、ますます人材確保が困難になる状況下ですが、これらの助成金を活用すれば、そうした雇用環境を整備しやすくなります。
create助成金を活用して人手不足を解消しよう
介護業界は人材不足が常態化しています。国や自治体の助成金をうまく活用して職場環境を改善し、従業員の労働意欲が失われないように取り組みましょう。
今回ご紹介した助成金は、全体の一部です。介護事業者や実施サービスによっては他にも使える助成金がある可能性があるため、厚生労働省や労働局のサイトで制度を都度確認するようにしましょう。
なお、制度は毎年内容が変わる可能性があるため、必ず最新の情報を公式のページで確認するようにしてください。
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【執筆者】
服部 椿
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
10年勤めた金融代理店での経験や自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
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