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介護情報・コラム

介護事業の経営コラム2:介護事業の「運転資金」

2022/06/13

介護事業の経営コラム2:介護事業の「運転資金」
このシリーズは、高頭 晃紀先生(日本ケアコミュニケーションズ 客員コンサルタント)に、介護事業の経営者としての目線で寄稿いただきました。
第2回は「介護事業の運転資金について」、高頭先生からのメッセージをお届けします。

※このコラムは、ベテランの経営者から、これから介護事業を起業しようと考えている方まで幅広い層に向けたものです。ですから、ベテランの方には、当然のことも書かれていることをご了承ください。

create 介護事業の「運転資金」とは

 前回のコラムでは、介護事業の「元手」=開設・開業資金について取り上げました。今回のコラムでは、「運転資金」について、お話しいたします。

 「運転資金」とは、単純に言えば、月々かかる経費のために用意しておく現・預金のことです。
「1ヶ月分の運転資金」と言えば、一般的には給与や光熱水費、ガソリン代などの燃料費、備品・消耗品などの購入費用の1ヶ月の総計、つまり1ヶ月分の経費の額ということになります。

 さて、1ヶ月分の売り上げが、1ヶ月分の経費よりも多ければ、その月は利益が出た=黒字ということになるわけです。
 ところが、みなさんご存知のように、介護保険収入は2ヶ月遅れで入金されます。実際には利用者が負担する分は、サービス提供月の翌月の後半に入金される場合が多いのだろうと思います。

 そうしますと、給与や備品・消耗品費などの経費を、先に支払いをして、介護保険収入が実際に入金されるまでの期間(2ヶ月)分の資金が、最低でも必要ということになります。
実際、介護保険の会計ルールや社会福祉法人の認可基準などでは、運転資金2ヶ月分以上の確保が定められています。


create 運転資金が足りなくなるリスク

 さて、上記はあくまでも単月黒字(その月だけの計算で利益が出ている状態)を前提にしています。
現実には、在宅サービスにしても、施設系サービスにしても、オープン月から、黒字化する例は、非常に少ないと言えます。
なぜなら、オープン直後から採算ベースを超えるような集客ができることは、稀なことだからです。

 従いまして、少なくともオープン当初は、運転資金が2ヶ月分の経費では少ない、というか足りなくなるリスクが大きい、という認識が必要です。
もし経費の支払いが不可能になったならば、事業継続は困難ですから、何らかの方法で、運転資金を調達する必要があります。
自前の資金だけではなく、補助金、助成金、各種融資などを活用して、豊富な運転資金を確保しておくことが、実は最も重要なことなのです。

 極論を言えば、設備投資にお金をかけるよりも、事業開始から黒字化までの運転資金の確保の方を優先すべきなのです。事業を継続していく限り資金繰りは永遠のテーマなのですから。

 前回のコラムでは、一般的に開業費用は、予算オーバーしやすいことに触れました。また予算オーバーした場合、用意していた運転資金が少なくなるケースが多いことにも触れました。
運転資金の確保=資金繰りは、事業存続の最も重要な要素の一つです。

 ある意味、皮肉なことなのですが、事業が軌道に乗り、順調に黒字が続けば、手元の資金は自然と増えていって、2ヶ月分以上の運転資金が、手元資金として残るようになります。

 今回のコラムでは、経営上、つらいことがわかっている開業直後の運転資金の確保は、非常に重要であることについて触れました。


auto_awesome 運転資金の調達にはファクタリングが便利!

介護報酬ファクタリングは、通常国保連への請求後2か月かかる入金に対し、請求当月に早期資金化できるサービスです。
銀行融資などと違い、審査スピードも早く、複雑な審査書類の提出などもありません。また借り入れにもならないので安心です。
ただし、早期資金化するために一定の手数料がかかります。


次回のコラムでは、実際に仕事を行ってくれる「ヒト」とお金の関係について、解説する予定です。



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講師:高頭 晃紀(日本ケアコミュニケーションズ 客員コンサルタント)
介護福祉経営士。株式会社日本ケアコミュニケーションズ 客員コンサルタント。
1998年より、ケア管理システムをはじめ、介護保険関係のシステム開発を数々手掛ける。
介護施設への経営(介護福祉施設の稼働率向上、在宅サービスの利益向上)・ケア(利用者の健康向上、自立支援)のコンサルティング業務も数多く、講演活動も精力的に行なっている。
社会福祉法人虐待再発防止第三者委員を歴任。
近年は特に介護事業の人材定着、能力向上プロジェクトに注力している
高頭晃紀先生(日本ケアコミュニケーションズ チーフコンサルタント)

著書
『今日から使えるユニットリーダーの教科書』
『100の特養で成功!「日中おむつゼロ」の排せつケア』
『あなたを助ける 介護記録100%活かし方マニュアル ただ書くだけの記録から ケアを高める記録に』(以上メディカ出版)
『介護現場のクレーム・トラブル対応マニュアル』(ぱる出版)
『介護事業経営・運営のノウハウ:これで失敗しない!(共著 同友館)
『3ステップで目指せ一流 ホンモノの介護職になろう: ステップ1 駆け出し編 』
『3ステップで目指せ一流 ホンモノの介護職になろう: ステップ2 本物になろう編 』(339BOOKS: Kindle版)
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