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介護情報・コラム

介護事業の経営コラム3:「人を使う」と「金を使う」

2022/07/11

介護事業の経営コラム3:「人を使う」と「金を使う」
このシリーズは、高頭 晃紀先生(日本ケアコミュニケーションズ 客員コンサルタント)に、介護事業の経営者としての目線で寄稿いただきました。
第3回は「人を使う」と「金を使う」、高頭先生からのメッセージをお届けします。

※このコラムは、ベテランの経営者から、これから介護事業を起業しようと考えている方まで幅広い層に向けたものです。ですから、ベテランの方には、当然のことも書かれていることをご了承ください。

create 「人を使う」と「金を使う」

 タイトル、少し気取ってみました。

 「人を使う」というときの「使う」は、指示を出して動いてもらうという意味というかニュアンスです。一方、「金を使う」というときの「使う」は、単に何かを買う(得る)ために支出をするという意味です。

 ところが、考えようによっては、人も金も、「無駄に使う」ことも「有効に使う」こともできます。
実は、「金を使う」というのも「お金に働いてもらう」という側面があるわけです。

 もちろん会社や事業であれば、人に働いてもらうためには、なにがしかの対価を支払わなくてはなりません。一般的には、社内の人へは給料や報酬、外部の人には、例えば委託費という形で、お金を支払う=「金を使う」わけです。

 さて、ここで課題として、我々が考えなくてはならないのは、それは「労働力」という商品を買っているのだ、と単純に考えて良いのか? ということです。言い換えれば、有能な人にお金を使えば(高い給料を払えば)、効果的なお金の使い方になっているのかということでもあります。


create 「労働力」は、どういうもの?

 確かに「労働力」を、商品であると考えることによって、経済学などが進歩・発展してきた側面がありますので、「労働力」は「モノ」であると考えることもできます。

 しかし、例えばすでに出来上がって店頭に並んでいる商品、例えばテレビや洗濯機を値切っても、テレビや洗濯機の機能や能力が変わることはありません。出来上がって店頭に並んでいるコロッケやお惣菜を値切っても、味は変わるはずがありません(安く買えたから、美味しく感じるということはあるでしょうが)。

 一方、労働力というのは、これから実現するなにかのことです。もちろん過去の労働に対してお金を払うのが給料なのですが、実際に支払う前に給料の額は決まっている場合がほとんどのはずです。歩合制というのは、例外的に後から給料の額が決まるからこそ、意味があるのです。

 つまり、「労働力」は、前もって機能や品質が定まってないものであり、さらに、人の生産性や仕事のレベルは、気分や感情、やる気などで大きく変わるということは、常識でしょう。
早い話、自分が「値切られた」と感じたならば、テレビとは違う反応をするということであり、「評価されている、頼りにされている」と感じても、やはりテレビとは違う反応をするということなのです。


create お金に効果的に働いてもらおう

 介護事業は、基本的に人件費が経費=運転資金の大きな部分を占める業種です。人件費に大きな金を使っているわけですから、そのお金に効果的に働いてもらわなくてはなりません。そうでなければ、ただただ給料を高くすることでしか、「人を有効に使う」ことができなくなってしまいます。

 「うまく人を使う」ために「うまくカネを使う」
 「効果的に人に働いてもらう」ために「効果的にカネに働いてもらう」

 これが、筆者が強調したいことです。

 このコラムの要点は、「人と金を、うまく使おう」という意識というか、覚悟というか、理解を深めましょう!ということでした。

 次回は、ではどうやったら、それが実現できるのか? について、いよいよ「モノ」が登場して、経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の関係を解説する予定です。

 ご期待いただければ幸いです。


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講師:高頭 晃紀(日本ケアコミュニケーションズ 客員コンサルタント)
介護福祉経営士。株式会社日本ケアコミュニケーションズ 客員コンサルタント。
1998年より、ケア管理システムをはじめ、介護保険関係のシステム開発を数々手掛ける。
介護施設への経営(介護福祉施設の稼働率向上、在宅サービスの利益向上)・ケア(利用者の健康向上、自立支援)のコンサルティング業務も数多く、講演活動も精力的に行なっている。
社会福祉法人虐待再発防止第三者委員を歴任。
近年は特に介護事業の人材定着、能力向上プロジェクトに注力している
高頭晃紀先生(日本ケアコミュニケーションズ チーフコンサルタント)

著書
『今日から使えるユニットリーダーの教科書』
『100の特養で成功!「日中おむつゼロ」の排せつケア』
『あなたを助ける 介護記録100%活かし方マニュアル ただ書くだけの記録から ケアを高める記録に』(以上メディカ出版)
『介護現場のクレーム・トラブル対応マニュアル』(ぱる出版)
『介護事業経営・運営のノウハウ:これで失敗しない!(共著 同友館)
『3ステップで目指せ一流 ホンモノの介護職になろう: ステップ1 駆け出し編 』
『3ステップで目指せ一流 ホンモノの介護職になろう: ステップ2 本物になろう編 』(339BOOKS: Kindle版)
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