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介護情報・コラム

「年上の部下」にどう接したらいい?リーダーになったら知っておきたいこと

2023/03/07

【コラム】「年上の部下」にどう接したらいい?リーダーになったら知っておきたいこと 【コラム】「年上の部下」にどう接したらいい?リーダーになったら知っておきたいこと

「私、今度、ホーム長になったんだ」


久しぶりに会ったA子(アラサー女子、筆者の身内で介護職)の話を聞いて、 「若くして、すごいじゃない!」 と絶賛したのですが、どうも顔色がよくありません。

A子・アラサー女子・介護職・ホーム長に抜擢された・年上の部下を持つ

聞いてみると、 「年上の部下と、うまくいかない」 と悩んでいる様子です。

「会社で、部下のマネジメントをやっていたよね? 年上の部下の接し方って、何か、コツがあるのかな?」

そんなふうに相談され、A子に話した内容を、整理してご紹介したいと思います。


年上の部下と接するときの4つのポイント

まず、年上の部下の接し方として、押さえたい4つのポイントがあります。

”年上の部下”と接するときのポイント
  • 上に立とうとしない
  • 相手が大切にしていることを把握する
  • 意思決定プロセスに参加してもらう
  • マイクロマネジメント(過干渉)はしない

それぞれ、見ていきましょう。


(1)上に立とうとしない

年上の部下と接するとき、
「威厳を見せなければ」
と、がんばって上に立とうとするリーダーは多いのですが、良策ではありません。


厳しい言葉や強制的な指示は、こちらが思う以上に、相手へ不快感を残すことが多いからです。

年上の部下とうまくやっていくためには、そういった不和は、排除しておくに越したことはありません。

意識的に丁重な言葉を選び、ヒエラルキー的ではないアプローチを心掛けてください。
「序列を示して、リーダーと認めさせる」ことよりも、「親しみやすくてオープンな人」と思われたほうが、はるかにメリットが大きいと考えましょう。


(2)相手が大切にしていることを把握する

2つめは「相手が大切にしていることを把握する」です。


年上の部下は、業務経験が豊富にあるため、“その人なりの価値観”が形成されています。
理想は「職場のメンバー全員が、共通の価値観を共有すること」ですが、なかなか難しいものです。
新人時代に刷り込まれた知識や、過去の強烈な失敗体験(または成功体験)によって形成された価値観は、簡単にアップデートできないからです。

業務上の意思疎通の難しさは、この“価値観のズレ”から起きるケースが多いでしょう。日頃から相手を観察して、価値観を把握しておくと役立ちます。


(3)意思決定プロセスに参加してもらう

3つめは「意思決定プロセスに参加してもらう」です。


自分より長く、職場で働いている人が部下にいる場合、この重要性が増します。 具体的には、重大な決定(例:従来のやり方の変更)をする前に、以下の実践を心掛けます。


  • ミーティングを開く:意見やアイデアをオープンに共有できる場を設ける。
  • 個別に意見を聞く:部下の考えや提案に耳を傾け、真摯に検討する。
  • 公式発表の前に説明する:事前に事情や背景を伝え、合意形成するように努める。

避けたいのは、部下から見たときに、
「上司は、何もわかっていないのに、勝手に決めてしまう」
と思われる行動です。
当事者意識とモチベーションが下がり、非協力的な態度に変わってしまうことがあるからです。 たとえ、異なる決断をするにしても、決断前の段階で意見を聞くことに、意味があります。


(4)マイクロマネジメント(過干渉)はしない

4つめは「マイクロマネジメントはしない」です。
マイクロマネジメントとは、上司が部下に対して過干渉するマネジメントのことです。


▼ マイクロマネジメントの例:

  • 部下の業務を常に監視し、チェックする
  • 過剰に報告を求める
  • 裁量権を与えず、何でも承認を取らせる
  • 仕事のペース・やり方まで、過度にコントロールしようとする

マイクロマネジメントは、どんな部下に対しても、好ましい手法とはいえません。とりわけ、年上の部下からは、強い反発を受けるリスクがあります。

彼ら彼女らは、自分なりの働き方が確立されていることが多いためです。
その働き方に、マネジメントスタイルを合わせたほうが、全体の業務は回りやすくなります。

今後のために注意しておきたいこと

続けて、今後のために注意しておきたいことを3つ、お伝えします。

今後のために注意しておきたいこと
  • 「不機嫌」にはコントロールされない
  • 距離をつめすぎない
  • 自分の上司への報連相で自分の身を守る

(1)「不機嫌」にはコントロールされない

1つめは「不機嫌にはコントロールされない」です。

先ほど、「上に立とうとしないことが大切」とお伝えしたのですが、同時に、部下からの“威圧”に負けないことも大切です。 ときおり、不機嫌さを態度で示すことで、相手をコントロールしようとする部下がいます。たとえば、以下のケースです。


  • 露骨に表情に出す(例:ため息、険しい表情)
  • 物に当たる(例:ファイルを乱暴に置く、大きな音を立ててドアを閉める)
  • メールや話し言葉などの言葉遣いが、急によそよそしくなる(例:〜申し上げます、など)
  • 仕事のペース・やり方まで、過度にコントロールしようとする

こういった行動をされたとき、動揺してオロオロしてしまい、機嫌を取ろうとするのは、よくない対応です。 「不機嫌で上司をコントロールできた」という成功体験が、相手をどんどんエスカレートさせてしまいます。
「私は、他人の不機嫌さには振り回されない」と心に決めて、スルーしましょう。


(2)距離を詰めすぎない

2つめは「距離を詰めすぎない」です。


「部下とのコミュニケーションが大切」と聞き、積極的に仲良くなろうとがんばって、失敗することがあります。

個人的に親しくなりすぎると、仕事とプライベートの境界線があいまいになり、マネジメントが難しくなることは珍しくありません。

距離が近づいた分、お互いに、イヤな面が目につき始めることもあります。ほかのチームメンバーに不公平感が出て、ギクシャクすることもあります。

「部下との間の適度な距離感」は、常にキープするように配慮しましょう。公平・公正な立場でチームを運営していくために、必要なことだと認識しておきます。


(3)自分の上司への“報連相”で身を守る

3つめは「自分の上司への“報連相”で身を守る」です。


部下との間に生じた問題や、現場で起きたトラブルは、自分の上司へ報告・連絡・相談します。 これは、業務上必要な義務であると同時に、リーダーである自分の身を守ることにつながります。

リーダーになると、さまざまな理由で、報連相をためらうシーンがあるかもしれません。


たとえば、
「部下の評価が下がるとかわいそうだから、黙っておこう」
「上司が心配しないように、解決したら事後報告しよう」
……といった具合です。


しかし、現実はうまくいかないことが多く、誤解や連絡ミスから大きな問題に発展しがちです。リーダーの責任が問われ、取り返しがつかなくなることもあります。

「上司と密に連絡を取り、情報を共有し、常に味方でいてもらうこと」は、いつも意識していてください。


さいごに

A子に伝えた内容は、以上です。

最後に、

「あとは、何でもかんでも、自分の責任と思わないこと。背負いすぎると、潰れるよ」

……と言った瞬間、A子の目には涙が溜まり、泣き出してしまいました。

介護職は、本当に責任の重い仕事で、A子は誰よりもそのことを知っています。

「利用者さんの命を預かっている」というプレッシャーのなか、部下のマネジメントにつまずいて、心がいっぱいいっぱいになっていたのです。

読者の方のなかにも、そんな方がいたら、少しでも肩の力を抜いてくださいね。この記事でお伝えしたコツを思い出しながら、“うまく”立ち回ってください。

【執筆者】
三島つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。

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