![【コラム】「年上の部下」にどう接したらいい?リーダーになったら知っておきたいこと](https://www.care-com.co.jp//wp-content/uploads/2023/03/ic_younger-member.jpg)
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「私、今度、ホーム長になったんだ」
久しぶりに会ったA子(アラサー女子、筆者の身内で介護職)の話を聞いて、 「若くして、すごいじゃない!」 と絶賛したのですが、どうも顔色がよくありません。
![A子・アラサー女子・介護職・ホーム長に抜擢された・年上の部下を持つ](https://www.care-com.co.jp/wp-content/uploads/2023/03/img_A-ko.png)
聞いてみると、
「年上の部下と、うまくいかない」
と悩んでいる様子です。
「会社で、部下のマネジメントをやっていたよね?
年上の部下の接し方って、何か、コツがあるのかな?」
そんなふうに相談され、A子に話した内容を、整理してご紹介したいと思います。
年上の部下と接するときの4つのポイント
まず、年上の部下の接し方として、押さえたい4つのポイントがあります。
- 上に立とうとしない
- 相手が大切にしていることを把握する
- 意思決定プロセスに参加してもらう
- マイクロマネジメント(過干渉)はしない
それぞれ、見ていきましょう。
(1)上に立とうとしない
年上の部下と接するとき、
「威厳を見せなければ」
と、がんばって上に立とうとするリーダーは多いのですが、良策ではありません。
厳しい言葉や強制的な指示は、こちらが思う以上に、相手へ不快感を残すことが多いからです。
年上の部下とうまくやっていくためには、そういった不和は、排除しておくに越したことはありません。
意識的に丁重な言葉を選び、ヒエラルキー的ではないアプローチを心掛けてください。
「序列を示して、リーダーと認めさせる」ことよりも、「親しみやすくてオープンな人」と思われたほうが、はるかにメリットが大きいと考えましょう。
(2)相手が大切にしていることを把握する
2つめは「相手が大切にしていることを把握する」です。
年上の部下は、業務経験が豊富にあるため、“その人なりの価値観”が形成されています。
理想は「職場のメンバー全員が、共通の価値観を共有すること」ですが、なかなか難しいものです。
新人時代に刷り込まれた知識や、過去の強烈な失敗体験(または成功体験)によって形成された価値観は、簡単にアップデートできないからです。
業務上の意思疎通の難しさは、この“価値観のズレ”から起きるケースが多いでしょう。日頃から相手を観察して、価値観を把握しておくと役立ちます。
(3)意思決定プロセスに参加してもらう
3つめは「意思決定プロセスに参加してもらう」です。
自分より長く、職場で働いている人が部下にいる場合、この重要性が増します。 具体的には、重大な決定(例:従来のやり方の変更)をする前に、以下の実践を心掛けます。
- ミーティングを開く:意見やアイデアをオープンに共有できる場を設ける。
- 個別に意見を聞く:部下の考えや提案に耳を傾け、真摯に検討する。
- 公式発表の前に説明する:事前に事情や背景を伝え、合意形成するように努める。
避けたいのは、部下から見たときに、
「上司は、何もわかっていないのに、勝手に決めてしまう」
と思われる行動です。
当事者意識とモチベーションが下がり、非協力的な態度に変わってしまうことがあるからです。
たとえ、異なる決断をするにしても、決断前の段階で意見を聞くことに、意味があります。
(4)マイクロマネジメント(過干渉)はしない
4つめは「マイクロマネジメントはしない」です。
マイクロマネジメントとは、上司が部下に対して過干渉するマネジメントのことです。
▼ マイクロマネジメントの例:
- 部下の業務を常に監視し、チェックする
- 過剰に報告を求める
- 裁量権を与えず、何でも承認を取らせる
- 仕事のペース・やり方まで、過度にコントロールしようとする
マイクロマネジメントは、どんな部下に対しても、好ましい手法とはいえません。とりわけ、年上の部下からは、強い反発を受けるリスクがあります。
彼ら彼女らは、自分なりの働き方が確立されていることが多いためです。
その働き方に、マネジメントスタイルを合わせたほうが、全体の業務は回りやすくなります。
今後のために注意しておきたいこと
続けて、今後のために注意しておきたいことを3つ、お伝えします。
- 「不機嫌」にはコントロールされない
- 距離をつめすぎない
- 自分の上司への報連相で自分の身を守る
(1)「不機嫌」にはコントロールされない
1つめは「不機嫌にはコントロールされない」です。
先ほど、「上に立とうとしないことが大切」とお伝えしたのですが、同時に、部下からの“威圧”に負けないことも大切です。 ときおり、不機嫌さを態度で示すことで、相手をコントロールしようとする部下がいます。たとえば、以下のケースです。
- 露骨に表情に出す(例:ため息、険しい表情)
- 物に当たる(例:ファイルを乱暴に置く、大きな音を立ててドアを閉める)
- メールや話し言葉などの言葉遣いが、急によそよそしくなる(例:〜申し上げます、など)
- 仕事のペース・やり方まで、過度にコントロールしようとする
こういった行動をされたとき、動揺してオロオロしてしまい、機嫌を取ろうとするのは、よくない対応です。
「不機嫌で上司をコントロールできた」という成功体験が、相手をどんどんエスカレートさせてしまいます。
「私は、他人の不機嫌さには振り回されない」と心に決めて、スルーしましょう。
(2)距離を詰めすぎない
2つめは「距離を詰めすぎない」です。
「部下とのコミュニケーションが大切」と聞き、積極的に仲良くなろうとがんばって、失敗することがあります。
個人的に親しくなりすぎると、仕事とプライベートの境界線があいまいになり、マネジメントが難しくなることは珍しくありません。
距離が近づいた分、お互いに、イヤな面が目につき始めることもあります。ほかのチームメンバーに不公平感が出て、ギクシャクすることもあります。
「部下との間の適度な距離感」は、常にキープするように配慮しましょう。公平・公正な立場でチームを運営していくために、必要なことだと認識しておきます。
(3)自分の上司への“報連相”で身を守る
3つめは「自分の上司への“報連相”で身を守る」です。
部下との間に生じた問題や、現場で起きたトラブルは、自分の上司へ報告・連絡・相談します。
これは、業務上必要な義務であると同時に、リーダーである自分の身を守ることにつながります。
リーダーになると、さまざまな理由で、報連相をためらうシーンがあるかもしれません。
たとえば、
「部下の評価が下がるとかわいそうだから、黙っておこう」
「上司が心配しないように、解決したら事後報告しよう」
……といった具合です。
しかし、現実はうまくいかないことが多く、誤解や連絡ミスから大きな問題に発展しがちです。リーダーの責任が問われ、取り返しがつかなくなることもあります。
「上司と密に連絡を取り、情報を共有し、常に味方でいてもらうこと」は、いつも意識していてください。
さいごに
A子に伝えた内容は、以上です。
最後に、
「あとは、何でもかんでも、自分の責任と思わないこと。背負いすぎると、潰れるよ」
……と言った瞬間、A子の目には涙が溜まり、泣き出してしまいました。
介護職は、本当に責任の重い仕事で、A子は誰よりもそのことを知っています。
「利用者さんの命を預かっている」というプレッシャーのなか、部下のマネジメントにつまずいて、心がいっぱいいっぱいになっていたのです。
読者の方のなかにも、そんな方がいたら、少しでも肩の力を抜いてくださいね。この記事でお伝えしたコツを思い出しながら、“うまく”立ち回ってください。
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三島つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。
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